図書館日記 1998年4月〜7月 目次 Top [local 目次 Top]


980727:【報告】「Global Standard に向けての大学図書館」98.07.25 目次 Top [local 目次 Top]

テーマ:Global Standard に向けての大学図書館
講演者:紀伊国屋書店 高井昌史さん
日 時:1998年7月25日(土)
会 場:慶應大学三田メディアセンター 三田図書館・情報学会主催

◆講演の趣旨◆

大学は少子化と財政難により経営的変革を求められており、図書館の経営的な見直しと、新たな時代に対応した学術情報支援システムの構築が迫られている。米国のようなコンソーシアムが育ちにくい土壌の日本の図書館は、学内で果たすべき今後の役割と機能を早急に見直すべきである。

◆書籍業界の状況◆

書店の返品は、不良在庫を抱え込みたくない出版社の意向を反映して、取次で滞留する。結局、運送屋と印刷屋が儲かる。

再販は3年間の期限付き延期となったが、文化論と市場原理の決着はついていない。再販に反対する新聞社から叩かれることを恐れる政治家は再販問題に介入できない。

再販廃止をにらんだ、大量仕入れと商品陳列場所の確保のための大型書店の出店も増えている。

カタログで自分の求めているものを特定できる本という商品は、オンラインショッピングに適している。

アマゾン・コムとバンズ&ノブルの価格競争は、徹底的に値引き競争を行う米国の風土を反映して、両者とも苦しい決算となっている。日本の洋書の価格低下傾向にも拍車がかかる。

本については、情報のインフラがあっても、物流のインフラは整っていない。店の棚の本を抜いて、倉庫に運び、宅配で発想する流れは労働集約的であり、まさに二重作業でしかない。出版社の共同倉庫から発送できれば、物流も洗練されたものになるが、書店と取次の役割は失われ、両者の生き残りが問題となる。

外商について、書店は顧客である大学が要求するものを何でも提供するようになった。

◆大学の課題:少子化、差別化、国際化がキーワード◆

短大の4大化への動きが模索されているが、図書館は学情に繋げばそれでお終いという理事物の考えに、図書館はそうでないと答えることができるか?

KMKは、ナイトリッダー主導で日本のライバル会社である丸善、紀伊國屋の合弁企業である。製品をもっている者の物の意向が強いのか、米国支配に向かっているのか。しかし、昨年、ナイトリッダー(米国)もメイド(英国)買収され、今度は上層部はイギリス化してしまった。従来は想像できなかった事態が現実になるのが国際化である。日本のJICST、NACSIS、NIFTY、日経などの日本のDB産業もビッグ・バンに直面している。

米国には1967年に発行され、現在10版を数える大学の格付けのゴードン・レポートがある。今度、翻訳がでる。

◆海外事例◆

財政難への対応として、共同目録、分担収集、コンソーシアム、シェアド・コンピュータなどがある。

OHIO Link ではILLの主体は図書の現物貸借で、1日に3回、宅配業者が数箱の段ボール詰めされた本を運んでいる。

図書館の取り組むべき課題として、メルボルン大の館長は以下をあげている。外国資料の購入で外国に金が流れる。ネットワークのインフラ整備、電子情報の整備、保管設備、国際分担コレクション、印刷媒体と電子媒体の保存、情報プロバイダーとの戦略的協力、図書館員の適正配置など。

図書館員は、革新的、創造的、事業家となれ。

◆学情と大学図書館◆

目録情報の整備が必要。目録の遡及入力、書誌階層をフラットに、文字コードなど。

護送船団方式も親分の元気が良ければよいが、組織疲労したときにはどうなるのか。

無料方式の限界。

◆メーカー主導の図書館システム◆

ハードが売れればよく、ソフトはバンドルという思想は、システムの互換性もなくソフトの発展性もない。

米国では情報系に優秀なSEが配属されるが、日本では優秀なSEは金融・証券に配置される。

INOPACのようなOPEN Systemを図書館主導でつくるべき。

◆国内事情◆

早稲田大学は、和書30万件の書誌データをOCLCに提供し国際貢献をしている。

注目されている立命館大は、教学経営から企業経営に変化している。

国立音大はコンソーシアムの良い例。LS1(Library System No.1)の開発。

一個人が情熱をもって前向きに考えてやっていくことが、コンソーシアムの場合には必要。

◆大学図書館に期待すべきもの◆

◇課題◇

◇対応◇ ◆◆感想◆◆

標記の講演会が開催されたので、出かけてきました。大学図書館の現状と課題が要領よくまとめられた話でした。特にアンダーライン部分は、日頃から漠然と考えていたことがキャッチコピー風にうまくまとめられていました。営利組織は金ですべてが評価できますが、非営利組織はサービスの質が問題です。良いサービスとは何なのでしょうか。結局は人と組織の問題ということになるのでしょう。久しぶりにハードな内容の講演でした。

中期的には、コンソーシアム、アウトソーシング、合併によって、コストを削減したり、新たなサービスを創出することで、財政難を一時的に切り抜け、長期的には、人と組織を育てることで大学を再生することが可能になります。

アウトソーシングや派遣社員などの業務委託で図書館業務を遂行する場合、どこまで委託がすすんだら図書館は図書館でなくなるのでしょうか。すべての業務が委託に置き換えられたとしても、「館(やかた)」としての図書館が存在する限り、図書館は図書館であり続けるでしょう。

それでは、業務委託された図書館や、電子化された図書館は、いつまで図書館であり続けることができるのでしょうか。図書館とは何なのでしょうか。大学とは何なのでしょうか。人が自主的に向上できる様々な環境を整えることが大学や自治体の役割なのではないでしょうか。その情報環境をサポートする事が図書館の役割なのではないでしょうか。


980720-3:【Memo】デジタル3連発 (980720-1, 980720-2) 目次 Top [local 目次 Top]

デジタル化についていろいろな視点からの話が聞けました。媒体としての紙、研究者、出版社、代理店、図書館、博物館、電子商取引、文化財などからの視点です。ほとんどの立場での、現状や考え方を知ることができました。 デジタル化の衝撃は現在では未知数です。誰が最後に笑うのかも未知数です。進むためには、費用、時間、人などを投入しなければなりません。しかし、景気の低迷している現状では、何もしないでいても資源は無用に流れ出ていきます。投入できる限られた資源を有効に使うための技術が必要です。費用と時間には限りがありますが、理論的に人間の能力は無限です。組織の構成員の能力開発が急務のように思われます。

公益事業に従事する人間の適正:地味で、創造的で、社交的


 980720-2:【報告】「デジタルアーカイブはどこへ」98.6.29、「紙、その後」98.7.17 目次 Top [local 目次 Top]



主 催:(株)情報通信総合研究所
テーマ:「デジタルアーカイブはどこへ〜電子図書館・電子博物館の将来を考えるシンポジウム〜」
日 時:1998年6月29日
会 場:東條会館


モデレーター:

「館(やかた)の発想からネットワークの思想へ」
   合庭惇 (静岡大学 情報学部教授)

スピーカー:

「国立国会図書館の電子図書館プロジェクト」
   安江明夫 (NDL 総務部副部長)

「東京国立博物館のディジタル画像アーカイブとシステム作りの方針」
   高見沢明雄 (東京国立博物館 情報管理研究室長) 「デジタルアーカイブの最新動向」
   大原伸一 (京都造形大学 メディア美学センター主任研究員) 「高品質画像のデジタル化」
   小野定康 (NTT 光ネットワークシステム研究所 研究室長) 「文化庁における情報化の試み--文化財情報・美術情報システムについて」
   林和彦 (文化庁文 化財保護部 伝統文化課 文化財保護企画室長) 「本格的デジタルアーカイブとそのビジネス展開」
   本田和秀 (凸版印刷(株) 情報・出版事業本部 マルチメディア事業開発本部 市場開発部 
           イメージモールジャパン設立準備室主任) パネルディスカッション:
「デジタルアーカイブはどこへ〜電子図書館・電子博物館の将来を考える」  目次  ↑TopPage


主 催: 三美印刷
テーマ: 「紙、その後」
日 時:1998年7月17日
会 場: 帝国ホテル


 コーディネーター:
「紙、その後」問題提起
   合庭惇 (静岡大学 情報学部教授)  パネリスト:
「電子ジャーナルの現状と電子図書館」
   松島徹 (丸善 出版事業部 製作部部長) 「STM出版における電子化の現状」
   中村秀穂 (医学書院 常務取締役) 「情報化時代を迎えて学術団体の対応--紙媒体は文化なり--」
   高橋征生 (日本機会学会事務局長) 「大学の研究・教育現場におけるメディアの利用」
   長坂雄次 (慶應大学理工学部システムデザイン工学科教授) 「子供の本の編集者の立場から」
   時田史郎 (福音館書店 社長)

980720-1:【報告】「電子図書館の現状と未来--エルゼビアサイエンスの場合」 98.7.3 目次 Top [local 目次 Top]

主 催:日英ライブラリアン・クラブ
テーマ:「電子図書館の現状と未来」--電子図書館と電子出版--エルゼビア サイエンスの場合
講 師:エルゼビア サイエンス(株)代表取締役 深田良治
日 時:1998年7月3日
会 場:ブリティッシュ・カウンシル図書館情報センター

論旨 :

エルゼビアは、1991年に学術出版社のPergamon社(英)を合併、1993年にRead(英)と合併、1994年にデータベースサービス会社のLexis/Nexisを合併し、Read/Elsevierグループとして今日に至っている。
出版している雑誌は、1,200タイトル、180万ページ/年、従業員28,000人(うちElsevierの学術出版に3,000人)、学術雑誌の出版では世界最大規模をほこっている。

第二次世界大戦で仏、独の学術出版が滞っている間に、オランダとスカンジナビアからの出版点数がのびた。
アポロ計画で研究が米国に移った。
良いジャーナルほど投稿数が増え成長し、1966年に年刊6冊で創刊された"Brain Research"は、30年間で200倍に成長している。
Webでの個人出版も可能であるが、レフェリーを持った出版社による学術の世界に通用する「出版」は安泰。

運用:利用形態(ローカル蓄積モデルリモート蓄積モデル)、価格体系(固定、従量)

問題点:インフラ整備(形のないものの会計処理、バックボーン整備)、費用(紙と電子の維持と人員・研究開発費の確保)

感想 :

デジタル化のインパクトは未知数だが、、電子図書館、電子出版、デジタル・アーカイブへの対応は不可欠。

研究開発費は、出版社の合併による規模拡大によってまかなわれているそうだ。
つまり、研究開発費の割合は変わらないが、会社の規模拡大により金額がのびているという理屈である。
ということは、大手の出版社だけが学術情報流通市場をリードできることになる。
これでいいのかという疑問はある。

もう一つの疑問として、合併に関わる費用も同じ理屈なのだろうか?
合併や研究開発に関わる費用が、雑誌価格に上乗せされてくるのは当然なはずなのだが?


980629:【文献】サーチエンジン徹底活用術 改訂98.06.29 目次 Top [local 目次 Top]

Niftyの図書館フォーラム(情報館)(816/866)で紹介されていた本です。サーチエンジンの使い方からその仕組みまで、入門者から中級者の役に立ちそうな本です。著者は日本におけるサーチエンジンの草分け的存在であるODIN を個人で運営している東京大学の大学院生です。サーチエンジンの開発・運営者であるだけに、よく使われるサーチエンジンの概要とキーワード検索、再検索、検索結果のスコア表示の仕組みなどが要領よく解説され、サーチエンジンの背後にある技術にもふれられています。

サーチエンジン徹底活用術 / 原田昌紀著. ― 東京 : オーム社, 1997.12. ISBN:4-274-03230-9 ; \1900+95.

名称 / 運営 種類:収録数 / 結果表示 特徴
goo [97.3-] 
(株)エヌ・ティー・ティー・アド
ロボット型: 
600万ページ 
スコア順
収録規模最大、条件指定、リンク先URL、日付検索 検索先設定 データタイプ、検索フィールドの指定できず
Infoseek Japan [96.10-] 
(株)デジタルガレージ
ロボット型:500万ページ 
ディレクトリ型: 
スコア順
タイトル検索、URL限定、ホスト名限定、URL逆引き、自然言語検索、ニュース 、株価検索 
InfoNavigaor [95.7-] 
富士通(株)
ロボット型:280万URL 
ジャンル別:76000URL 
スコア順
「検索の達人」、「似たもの検索」、検索結果並べ方: カテゴリ/業種/地域
Open Text
日商岩井(株)
ロボット型:150万URL 
スコア順
簡単な操作、演算の評価順序、検索対象の指定、厳密な全文検索 
NETPLAZA [95.8-] 
NEC
ディレクトリ型:7000URL 
ロボット型:80万URL
クリッピングサービス:MY PLAZA
Hole-in-One
(株)日立国際ビジネス
ディレクトリ型:50万URL 
ロボット型:5万URL
コメントが充実、検索フィールドの指定、スタッフによる代行検索サービス
NIPPON-NET<地域発見> [96.6-] 
(財)地方自治情報センター
日本国内の地方公共団体のオフィシャルページ750サイト、20万ページ(97.9現在)  
CRNナビゲータ [96.5-] 
チャイルド・リサーチ・ネット
教育関連のページ  
ODIN [95.11-] 
原田昌紀 
ロボット型:31万URL(97.9現在)  
RCAAU [95末-]   
京都大学大学院工学研究科応用システム学専攻情報通信講座
ロボット型:50万URL(160万URL検索可能) 
ディレクトリ型
 
千里眼 [94.12-] 
田村健人
ロボット型:51万URL(リンク先も含めると127URL) 国内初のサーチエンジン、更新はほぼ停止
Yahoo! JAPAN [] 
ヤフー(株)
ディレクトリ型:推定15万URL 「インターネットの総合雑誌」である 
カテゴリ名の後の括弧内はサブカテゴリの数 
@はほかのカテゴリに属すことを示す 
タイトル脇のアイコンの意味: 
[NEW!] 新規登録ページ 
[サングラス] お勧めページ 
[GUIDE] ソフトバンク社の雑誌「Yahoo! Internet GUIDE」のレビュー 
[Netvavi] 日経BP社の雑誌「日経ネットナビ」のレビュー
NTT DIRECTORY [] 
日本電信電話(株)
ディレクトリ型:15万URL ジャンル別検索 
1993年12月1日以来の「日本の新着情報」をすべて持っており、日本のインターネット発展の歴史の例証となる 
Excite 日本語版    
名称 / 運営 種類:収録数 / 結果表示 特徴
AltaVista
Digital Equipment Corp.
ロボット型:5000万URL 

title:"serial cancellations" 1997 -australia 6件 

title:"serials department" 38件

Simple Search と AdvancedSearch 
検索フィールドの指定 
ネットニュースの検索 
refine機能:検索式の検索結果のトピック表示とそれによる再検索
URL指定の検索結果を「rifine」するとそのサイトの内容を「トピック」としてみることが可能
Excite
Excite, Inc.
ロボット型:5000万 
ディレクトリ型:8万サイト
Power Search 
検索結果をサイト単位で表示可能
Infoseek
Infoseek Corp. (USA)
ロボット型:5000万ページ 
ディレクトリ型:50万ページ
語尾変化を吸収
HotBot
Inktomi Corp.
ロボット型:5500URL gooの海外検索はここにくる
Lycos
Ltcos, Inc.
ロボット型:1億ページ 
ディレクトリ型:「TOP5%」を提供
Java版あり 
Yahoo!
Yahoo!
ディレクトリ型:50万URL ニュース検索、全米地図表示、電話番号や電子メール検索
MetaCrawler
go2net, Inc.
メタサーチエンジン 複数のエンジンに検索要求をだす
名称/運営 内容 特徴
検索デスク 
浅井さん
サーチエンジンについての情報 サーチエンジンの大きさと網羅性を評価する「検索調査」コーナーは有用 
「巡回検索」というメタサーチ機能
EasySEARCH
本田真也
メタサーチサービス サーチエンジンに関するトピック、解説、定点定期観測
SEarch Engine Watch サーチエンジンに関する専門サイト サーチエンジン関連のニュースのメール配信サービス
日本のサーチエンジンのリスト
NTTの清水氏
国内向けサーチエンジンのリスト 各種検索システムへのリンク集 
WWW検索システムML


980628:【News】図書館員のための「役に立つリンク集」を再編成 目次 Top [local 目次 Top]

検索、情報産業、Internet、雑誌、標準化、その他の6つの項目に分けました。前半は一般の図書館員と参考業務に利用でき、後半は個人的な興味の範囲です。この種のリストのメンテナンスで困難なのは、わかりやすい構成、鮮度の維持です。

個々のホームページの簡単なコメントを書くことも必要です。個々のサーチエンジンの収簡単な概要(録範囲、特徴)と、論理演(論理積、論理和、論理差、近接演算子、フレーズ検索)の説明も必要です。


980621:【報告】電子化時代の大学図書館のあり方と洋書店の役割 目次 Top [local 目次 Top]

1998年6月20日(土)出版労連本部会議室において、出版研究集会洋書分科会「電子化時代の大学図書館のあり方と洋書店の役割」--図書館のアウトソーシングと学術情報の収集コスト--と題する研究会が行われた。

この分科会を主催している洋書問題研究会は、外国資料を取り扱う現場で働いている出版社、代理店、書店、図書館の人たちが一堂に会する機会を提供する会である。外国資料に関する異なった立場からの意見交換が行え、考え方の転換を迫られる刺激的な場であり、自己研修のための貴重な研究会でもある。

「大学図書館はいかにして電子図書館になるか」大石博昭(横浜国立大学附属図書館)と、「電子化時代と洋書店の役割」鈴木芳博(極東書店)は、各々の業界の現状報告である。「デジタルライブラリと学術出版の現状と今後」植村八潮(東京電機大学出版局) は、出版業界の今後の方向も示してくれている。植松氏はメーリングリスト 「netpub」における主要発言メンバーであり、日本の出版社の電子出版に関する対応の一端を知ることができた。

大石氏による奈良先端科学技術大学院大学附属図書館の「電子化のための著作物の利用許諾について」の様式は、電子図書館と著作権の関係を考える上での具体的な資料である。電子出版された資料や、媒体変換した資料を図書館で運用するにあたってで、図書館と出版社との契約行為は、今後はさけられない処理手順となる。図書館は、これまで行ってきていない「無形の財産に関する契約」という仕事に直面していることを改めて認識させられた。ILLなどで著作の「人権」を侵害し続けてきた図書館も安閑とはしていられない状況がすでにやってきている。

鈴木氏による「1997年輸入CD-ROMの通関統計が317億円と、輸入書籍の354億円に迫っている」という指摘には、今更ながら驚かされた。CD-ROMが電子と紙の移行期における重要な商品になるという指摘はすでに過去のものとなり、商品としてのパッケージ化された電子媒体は98年度には確実に紙を追い越すだろう。「現在の図書館では紙が主体である」という一般的な認識を改める必要がある。図書館の資料費の配分を変更する、図書館員の情報リテラシーを高める、学内の情報基盤を整備する、など課題は山積みである。しかし、図書館の戦略は迷走し続けるだろう。

植村氏が引用(?)したように、「書店における専門書が "expensive wallpaper" (高い壁紙)である」ならば、大学における図書館は "more expensive wallpaper" であり、社会における大学は "most expensive wallpaper" であろう。 所詮は、効率でくくれるの学術研究の周辺に発生する行為は4割程度で、残りの6割の行為は大学や社会の「余裕」であり「豊かさ」なのである。この「余裕」と「豊かさ」を、冷え切った経済情勢のなかで、どこまで大事に抱えていくことができるかが大学や社会の実力評価なのである。

とはいえ、セレクトされた「余裕」と「豊かさ」を、リーズナブルな価格で提供する異業種が学術・文化産業に参入してきている。amazon.comやダイイチがその例であるし、研究者が直接情報を配布できるインターネットの登場などは、学術・文化産業の再編成の現れでもある。図書館は学術情報のアーカイブ機能を(その手に奪い取り)自ら提供することで、ユニバーサルサービスとして図書館を社会に認知されることができるのだが・・・。


980613-3:【URL】文字コード、出版技術 目次 Top [local 目次 Top]

文字コードの体系化と漢字文化 芝野耕司 (東京国際大学商学部教授) http://asahi.cab.infoweb.or.jp/paper/aic/clipping/9802ks/index.html
1997年12月1日開催の調研懇話会での講演内容が、「朝日総研リポート」1998年2月号に掲載されている。
目次:
文字文化は鎖国できない/最初の国際規格「ISO 646」/各国版646と文字合成の障害/国際統一コード(ISO 10646)策定への動き/日本の文字コードの混乱/もう一つの問題「字形のゆれ」/ISO 10646とユニコード/ユニコードは「日本いじめ」か/理解不足による統合漢字批判/徹底的な漢字の典拠の洗い出しを/お寒い限り日本の漢字情報/JISコードは理科系独走の産物か/朝日文字誕生の歴史的背景/「代表字体」の考え方導入も
 芝野氏は、「JIS漢字字典」(財)日本規格協会, 1997.11.25 の編著者であり、文字コードの最近の権威である。JIS漢字6,879文字では十分な漢字を網羅できていないとの「安易なJIS漢字批判」への一つの返答である。
 「JIS漢字には漢字辞書にもない文字がある」との批判に対しては、哘(区点コード05106)、囎(区点コード05185)、圸(区点コード05211)などの漢字は、地名、小・中学校名、人名のいずれかに用いられており、序文では、むしろ辞書の不備を指摘している。
Japan Publishing Consoutium http://www.mdn.co.jp/JPC/
デジタル・パブリッシングの世界において、ユーザーとベンダーが情報交換を行い、ともに問題点を解決するための場である。コンピュータシステムおよび情報交換の場である。コンピュータシステムおよび情報技術の高度化をふまえ、現在の混沌としたDTPの市場と文化の成長を支援することを目的とする。出版の技術敵側面を研究する団体。Adobe、Apple、FUJIFILM、TypeBank、HEIDELBERG PREPRESS、モリサワ、Koyosha、PROVISION、NEWS WAVE、関西DTP協会などで構成されている。1998年4月15日には、「オンライン・パブリッシング」セミナーを開催している。
フレームを使っていて、読みにくいページ。
国家公務員試験 図書館専門職 試験内容  http://www.koka.ac.jp:8080/ss4/taniguti96M/0/10/180/1997/kokka297.html
受験者による出題内容の報告が掲載されている。

980613-2:【報告】導入が始まったネットワーク・コンピュータ(98.5.27) 目次 Top [local 目次 Top]

「導入が始まったネットワーク・コンピュータ(NC)の現状と可能性--神奈川大学図書館での事例紹介及び導入のメリットを解説」が、1998年5月27日(水)に、(株)大塚商会OAセンター(東京駅八重洲中央口)で開催された。

内容:

 講演会は図書館関係者を対象として開催され、40名ほどの参加者であった。大手、中小、先進校などいろいろの状況の図書館から参加していて、NCへの興味は低くないようだ。
 NCはそれ自体にはプログラムや設定を持たず、電源を入れると、設定されたアプリケーションをサーバーから読み込んで動き出す。図書館などの不特定多数の人が使用するパソコンのように設定を変更されることもないし、プログラムを消去されシステム担当者がインスツールをやり直す作業からも解放される。つまり、情報端末としてのパソコンの保守管理の手間がなくなり、さらに、パソコンよりNCの価格は数割安くなる。ネットスケープなどのブラウザーを立ち上げるようにしておいて、そこから、OPAC、Webを利用し、学内者向けのCD-ROM検索サーバーの利用は、最初にICカードをNCに読みとらせているので、すべてのサービスがシームレスに行えるようになっている。
 神奈川大学図書館ホームページからは、OPAC、メール、文献申し込み、OCLCのFirstSearch、日外Web、各種CD-ROMが使えるようになっている。シラバス(講義要項)もデータベース化され、これからの図書館ホームページの方向を示しているといえる。

980613-1:【報告】次世代電子図書館システム研究開発事業報告会(98.3.13) 目次 Top [local 目次 Top]

「次世代電子図書館システム研究開発事業報告会」が、1998年3月13日(金)に、東京全日空ホテルで開催された。

配布資料:

 次世代電子図書館システム http://www.dlib.jipdec.or.jp/ は、EDI等の研究開発事業もおこなっている(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC:: JapanInformation Processing Development Center) http://www.jipdec.or.jp/ の研究開発事業である。
 次世代電子図書館システムでは、図書館等に書物などの形で収集・蓄積・流通されてきた膨大かつ多岐にわたる人類の知的財産をネットワークを介して電子的に利用あるいは提供する基盤を提供し,次世代情報化社会での情報流通の公共的基盤として機能する電子図書館システムの実現を目指して,その標準的なアーキテクチャや先進的な個別技術の研究開発をおこなっている。

次世代電子図書館システム研究開発事業への参加企業:

いくつかのWGになかには、利用者サイドのニーズと評価を本プロジェクトの研究開発内容,方向性等に関して,利用者サイドの意見,要望等を検討する「ユーザ委員会」もあり、ここには津野海太郎さんも入っているようで、何かの雑誌の記事で津野さんがこの委員会の活動に触れていた。


980521:【文献】著作権関連 目次 Top [local 目次 Top]

■中野潔. 知的財産権ビジネス戦略--情報立社時代の著作権ビジネス百考--. オーム社, 1997.11, 246p. ISBN:4-274-94856-0

■情報社会における著作権および関連権 欧州委員会グリーンペーパー(1995年7月19日). 著作権情報センター, 1995.10, 104p.

インターネット弁護士協議会(ILC)編著. INTERNETホームページにおける著作権問題〜現役弁護士が答えるQ&A〜(インターネット法律叢書1). 毎日コミュニケーションズ, 1997.4, 255p. ISBN:4-89563-956-8 目次

■インターネット弁護士協議会(ILC)編著. サイバーショップを中心としたインターネットビジネスの法律ガイダンス〜起業家・消費者のための法律と税金のすべて〜(インターネット法律叢書2). 毎日コミュニケーションズ. ISBN4-89563-984-3 C3055 定価:本体2,500円+税

第1章 WWWサーバ等の管理と責任
第2章 ホームページ作成に関する問題  ホームページの作成委託と著作権処理 / デジタル化するにあたっての権利者の許諾 / 会社の設立手続
第3章 サイバーショップ開設にかかわる法規制
第4章 サイバーショップや商品の広告の問題点
第5章 インターネット通販における契約
第6章 インターネットにおける代金決済
第7章 欠陥商品に関するトラブル
第8章 顧客情報の管理と利用
第9章 トラブルに備えてとる手段
第10章 インターネットでのビジネスと税金
第11章 インターネットビジネスと国際問題
■インターネット弁護士協議会(ILC)編著+村井純. インターネット法学案内電脳フロンティアの道しるべ.日本評論社, ISBN4-535-51116-0
第I部  インターネットの未来を語る−−テクノロジーと法
 第1章 インターネット構築サイドから−−利用者とのコラボレーションへの熱い思い
 第2章 インターネットと法の出会い
 第3章 インターネットと個の復興<ヴァーチャル座談会>
第II部 インターネットが直面するさまざまな法律問題
 第1章 電子商取引をめぐる諸問題−−セキュリティ、暗号問題、電子署名
 第2章 インターネットと消費者保護
 第3章 法と規則の国際的な側面 (International Aspects of Cyber Law and Regulations)
 第4章 ドメインネームと営業上の標識との衝突
 第5章 インターネット法規制のゆくえ−−わいせつ規制を具体例として
 第6章 インターネットプロバイダの法的責任論
 第8章 弁護士によるインターネット活用)
社会教育関係者のためのマルチメディア時代の著作権


980419:【URL】電子図書館、電子出版(1) 目次 Top [local 目次 Top]

Japan Publishing Consortium http://www.mdn.co.jp/JPC/
デジタル・パブリッシングの世界において、ユーザーとベンダーが情報交換を行い、ともに問題点を解決するための場である。コンピュータシステムおよび情報交換の場である。コンピュータシステムおよび情報技術の高度化をふまえ、現在の混沌としたDTPの市場と文化の成長を支援することを目的とする。
1998年3月12日JPCセミナーでの東京電機大学出版局 編集課 主事 植村八潮さんの「PDF出版は離陸するか?」の記録などもある。
次世代電子図書館システム研究開発事業 http://www.dlib.jipdec.or.jp/
JIPDECでは,次世代情報化社会での情報流通の公共的基盤として機能する電子図書館システムの実現を目指して,その標準的なアーキテクチャや先進的な個別技術の研究開発を「次世代電子図書館システム研究開発事業」として推進しています。
ひつじ書房 http://www.hituzi.co.jp/hituzi/index.html
「房主の日誌」には電子出版について書かれています。読書人向けのオンライン書評誌 http://www.shohyo.co.jp/top.shtml もあります。

980417:【News】Yahoo! Japan にこのホームページを登録 目次 Top [local 目次 Top]

 このホームページを1998年4月8日に Yahoo! Japan 各種資料と情報源:図書館:一般情報 に登録しました。

   図書館員のためのインターネット - インターネットによって図書館員が機能強化するためのサイト。

同日の図書館:大学図書館への登録には、文教大学越谷図書館と和光大学附属梅根記念図書館がありました。

   文教大学越谷図書館 - 図書館の概要、利用案内、コレクションの紹介、図書館からのお知らせ等。

   和光大学附属梅根記念図書館 - 利用案内、蔵書検索、情報入手に役立つリンク集等。


 目次 Top [local 目次 Top]